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「腹へったろ?」
ネコを部屋におろして 缶詰を開けた。
目を細めてピチャピチャと うまそうに食っている。
その側で俺はビールを飲みながら 心の中の安堵をかみしめていた。
買ってきたヤキトリを温めている間 ネコは食事を終えて毛繕いを
していた。
やっぱり鏡の前で…
ネコにも癖があるのだろうか。
アイツは頭が良さそうだから ちゃんと鏡の役割を理解しているの
かもしれない。
『ネコに鏡を見せると化けて出る』
バアさん よしてくれよ。
だけど本当か嘘か 証明できるかもしれないぜ。
食ったら寝る…
正直な生き物だぜ。
ベッドの上で丸くなったネコの かすかな寝息が聞こえていた。
起きたら首輪をつけてやろう。
だけど 俺のネコじゃないんだぜ。
アイツを探している どっかの誰かがいるかもしれないじゃないか…
聞いてみるか?
誰に?
…ネコに―
硝子の鈴のような声がする。
女の声…
目の前には 大きな鏡があった。
俺と一緒に 白い服の女が映っている。
鏡の中の彼女に笑いかけると 彼女の唇が言葉を刻んだ。
…会いたかった…
会いたかった?
振り向くと 彼女の姿はどこにもなかった。
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