出せない手紙

お元気ですか?

最近 あなたのことばかり 思い出してしまいます...
最後に声を聞いたのは いつだったかしら?
三年位前に母が あなたから電話があったと言っていました。
最後に顔を見たのは いつだったかしら?
祖母の家に 訪ねて来てくれたそうですね...
「なつかしくて」と 私のことを思い出してくれたことが
とても嬉しかった。
結局私は 未だにあなたの声を聞くことも 顔を見ることも
できずにいます。
だって私達 こんなにも大人になって こんなにも変わって
しまったじゃない?
私が思い出すのは 当時のあのままのあなたで...
あなたが思い出してくれるのも 同じように 当時の私なの
ですから―

電話番号を知っていても その声を聞くことができません。
現住所を知っていても その顔を見に行くことができません。
なぜなら私は...
今現在のあなたに対してではなく 数年前のあの頃のあなたに
今でも恋をしているから。
時の流れの中で変わっているはずのあなたを 私が愛した
あの頃のあなたと同一視することが きっとできないと
思うんです。
同じように変わってしまった私を あなたも当時と重ね
合わせることはできないと思うから。
今現在を受け入れることができないと知りながら...
今現在のあなたから過去を呼び覚ますことで 後悔はしたく
ないんです。
心のアルバムを開いて 何度もそこから想いを取り出して
いたとしても―