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「これ 預かった」
差し出された封筒の宛名は 私の名前になっていた。
だから 迷わず受け取った。
その封筒を届けてくれたのは 私と一字違いの隣のクラスの
女子だった。
大きな間違いがあったことを 容易に想像できる。
校門で見知らぬ男に頼まれた人が なんの疑いもなく 彼女に
封筒を渡した。
けれども その宛名は彼女ではなく 一字違いの私の名前。
封を切る前に気付いた彼女が 親切に届けてくれた…
こんなこと 私は望んではいないのに。
こんなことで 注目を集めたくもないのに。
手紙の送り主に 改めて憎しみを覚えた。
「おじさん これも良い?」
手紙は焼却炉の中で灰に姿を変えた。
なにが書いてあったのかは 見当がつく。
けれども 私には関係のないこと。
私の中では彼とは もう終わっているんだもの。
読まずに燃やしたことに 罪悪感も後悔も感じてはいなかった。
「年上の彼氏がいるんだってよ」
そんな噂が 早く消え去ることだけを願っていた。

その時の私は 新しい恋をしていた。
会いたい時に会える相手がいた。
休日以外は毎日 言葉を交わせる相手がいた。
私にときめきを与えて 嫉妬心を起こさせる相手がいた。
同級生でも 先輩でもない 講師の先生−
「年寄り好み?」
友達が笑いながら 訊ねる。
「そんなことない。 本当が欲しいだけ… 子供相手に恋なんか
できないもん」
もっと幼い頃に好きだったのは 近所の新婚のお兄さんだった。
小学生の頃は 家庭教師をしてくれた いとこの兄さん。
中学生の頃は 一つ上の先輩。
ついこの間までつきあっていたのは 七歳上のサラリーマン。
私が大人びているのか 背伸びをしているのか ませているのか…
よくわからないけど 恋の対象は いつも年上の男。
同級生は なんだか子供っぽく思えてしまう。
行動も 話題も なにもかも。
だから興味すら持てなくて 男なんだという意識もなくて−

       


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