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「ただいま。」
「お帰り パパ。」
「お帰りなさい。
この子ったら…」
「パパ 見て。
きれいでしょ?」
蝶々の標本?
「お前 これを買ってもらったのか?」
「うん。
僕 どうしてもこれが欲しかったんだ。」
背中に小さなピンさえなければ それは今にも
はばたきそうに見えた。
ビロードのような紫色の羽根が 電灯の光で淡い
輝きを放っていた。
「あいつ いつから蝶々に興味を持ったんだ?」
「わからないわ。
買い物に出かけてて 突然あれが欲しいって
言い出してきかないのよ。」
「他にオモチャでも買ったのか?」
「それが 蝶々以外はなにもいらないって。」
「…そうか…
なにか一つでも興味を持つっていうのは 良いこと
かもしれないな。」
「そうね…
だけどどうして あの蝶々なのかしら。」
「どういう意味だ?」
「お店には 他にも沢山の標本があったのよ。
大きな物も 小さな物も…
羽根の色だって 沢山の種類があったのに。
あの子ったら…」
「ろくに選びもしなかった?」
「私には そうとしか思えなかったわ。」
うん わかったよ。
水色の蝶々だね?
だけど 僕に見つけられるかナ…
そうだね。
僕にお姉ちゃんが見えるのと同じだね。
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