「ママ 僕あれが欲しい。」
「えっ?」
「なんでも買ってくれるんでしょ?
 僕 あれが良い。」
蝶々の標本?
「他のオモチャにしたら?
 あれは飾っておくだけで 遊べないのよ。」
「わかるよ。
 だけど あれが欲しいんだ。」
「…仕方ないわね。
 あなたの誕生日だから 良いわよ。
 そのかわり…」
「大丈夫。
 他にオモチャが欲しいなんて 言わないよ。」

「おじさん あれください。」
「これかい?」
「違うよ その隣の…」
「紫の蝶々かい?」
「うん。」
「きれいだろ。
 大事にするんだぞ 坊や。」

   お姉ちゃんは誰?
   …きれいな羽根だね…
   蝶々の妖精?
   背中にピンが刺さってて 痛くないの?
   僕がとってあげるよ。
   …そうだね。
   下の羽根が 傷ついちゃうからダメだね。