|
「下着を脱いで 横になって下さい。」
引き返したい想いが 私を躊躇わせる。
恐怖心と緊張が 全身を包む。
「ここに足をあげて…
麻酔をしますから 一緒に数を数えて下さい。」
罪悪感を胸に抱えながえら 目を閉じる。
手術台の光が 瞼の裏に小さな点の残像を残す。
「一つ 二つ 三つ …七つ…」
フワフワと漂うように遠のいていく意識の隅で
「いくつまで数えたのだろう」と思っていた。
…ここはどこだろう…
クリーム色のカーテンの隙間から 夕陽が差し込んでいた。
白い壁に囲まれた部屋で 私は目を覚ました。
病室?
手術は終わったんだ…
記憶はなにも残っていない。
体に痛みも感じてはいない。
遠くで子供の泣き声が聞こえる…
あっけないという気持ちに中で 私が感じられるのは
心の痛みだけだった。
小さな命を 私は絶ってしまった−
「どうして勝手なことをするんだ…
相談くらいできただろ。」
「相談したからって なにが変わるというの?」
「金はどうした? 署名は?」
あなたが気になる事は そんなことでしかないの…
「もう少し考えろよ…」
「考えたわよ。
充分すぎる程 考えたわよ。」
「その結果がこれかよ。」
|