取捨

『受信メールがあります』
パソコンが告げた。
どうせ広告や勧誘の類だろうと思いながら 受信BOXを開けると...
ずっと音沙汰のなかった彼から メールが届いていた。
無理矢理に近い形で私から別れを告げて それっきりでいたにも
関わらず...
今更 何の用かと思いながらも 僅かな心のときめきは 否定できない。
そんな自分が 腹立たしかった。

「元気にしてる?」
私はずっと元気でした。
そ・れ・な・り・に。
あれから私に何が起きたかも 私が何を選択して どう生きているかも
あなたは知る由がないのだけれど...
まさか私が生まれ馴染んだ街を出て あなたの住むこの街で暮らして
いるとは 夢にも思っていないでしょう。
あなたからこのメールが届く数日前も 交差点で擦れ違っていたことに
気付きもしなかったように。

「知らせたいことがあって メールしました。
 俺 結婚することになったんだ。
 結婚式に呼ぶという約束は 果たせそうにないけど
 知らせてはおこうと思ってさ。」
そんな連絡をわざわざしてくるなんて 相変わらず無神経なのね。
「結婚式に呼んでよネ」なんて 本気で言っていたわけがないじゃない。
正直 知りたくもなかった。
だけど私...
あなたから知らされる前に 彼女のことは知っていたのよ。