今朝 私は夢の中で泣いていた。
悲しさはないのに 哀しさに追われて 泣いていた。
夢の中に彼がいた。
「…なにを泣いてるんだよ。」
そんな彼のやさしさが 哀しかった。
「どうしたんだ?
 俺がなにかしたのか?」
気遣ってくれる彼が 哀しかった。
哀しくて…
とても 淋しかった。
一緒にいても 心はすれ違っている。
こんなに近くにいるのに 距離を感じる。
とても遠い人のように思えて…
私がどんなにがんばっても 手の届かない遠い人。

今更のように 自分の心を知った。
いつの間にか…
こんなにも彼を愛してしまっていたなんて。
時々チラッと見える家庭の影に 胸をしめつけられる。
彼がとても幸せそうで 家庭を大事にしている分 私の心は…
哀しくて。
あの人の指に 光るものがないだけでも 救われる思いがする。
でも…
彼に家庭があって 私のことなど気にもとめていなくて
どうにもならない片想いだから 彼が
輝いて見えて 私は
夢中でいられるのかもしれない。

哀しすぎるけど 淋しすぎるけど…
別にどうこうしたいわけではないし できっこないし。
どうしていいのか わからない。
私はただ…
彼をとても愛している。
彼の家庭を壊したいなどとは 思っていない。
不倫なんて柄じゃないし 彼だってそんなに器用じゃなさそうだし…
第一それを望んではいないだろうし…
どうしたら私の心は 落ち着くのだろう。
どうなれば 満足するのだろう。
本当に…
わがままだ。

彼のどこを見ても 奥さんの影がチラチラして…
奥さんの匂いがする気さえした。
彼の持ち物全てに 奥さんが手を触れて自由にすることを
許されている。

悔しいような やりきれないような…
考えれば考えるほど 彼に素直になれない。
彼がこんなにやさしくなければ こんなに愛しすぎることも
なかったのに。

私のことなど放っておいて 奥さんだけを見ていればいいのに…
彼が結婚していても それはそれでいいと思っていた。
私が彼を想うように 彼にも愛する人がいても不思議ではない。
それが自分ではないことは 出会った頃からわかっていたのに…
頭ではわかっていても それに心がついてこなくて 現実に
形になって見えてくると どう受け
止めていいのかわからない。
彼を愛しすぎている自分が とてもみじめに思えた。
どんなに想っても 愛しても 一方通行。
彼に会えたこと 声が聞けたこと ただそれだけに満足できなく
なった。

今 自分を見失っている…