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乾いた悲しみ

ドアのむこうで 君の声がする。
「ごめんなさい。
 やっぱり夢を 捨てられないの…」

君は夢を叶えるために ニューヨークへ発つことを俺に告げた。

君の声が 耳の中にこだまする。

冷たいシャワーのように 気配を消して…


「愛しているから 君の夢を奪えない。」

そう言ったのは 綺麗事でしかなかった。
「君の夢は そんなにも大切なものなのか?」

「俺と別れてまでも 追いかけたいものなのか?」
「行き先をまちがえても そばにいてくれ。 

 微笑んでいてくれ。
 いつも同じ時を 感じていたい。」
…なぜ そう言えなかったのだろう。

全てを壊して ひとつを創るために…
始めるための終わりを創るために…
全てを0に戻したかった君に…
なぜ「NO!」と叫べなかったのだろう。

プライドを砂にして風の中に飛ばしても 時代から捨てられた
やさしさを拾いたい…
生まれて死んでいくのが 人生じゃない。


陽ざしのない一日の終わりは 俺の心のように雨になったり
風になったりしている。

吹きつける熱い風を受けながら 俺は何をしているんだ?
ただこうして バルコニーに立たずむだけなのか?

手の中のグラスが 軽い音をたてて割れた。




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